●清酒
今日私たちが飲んでいる清酒は、文禄・慶長のころに創めて造りだされたものです。
酒が南部を元とすることは、酒粕に漬けた香の物を奈良漬というのでもわかります。
現在は、ほかにいくらでも美酒ができるようになりましたが・・・。
酒の善悪は水に依るもので、酒を造るときに用いる井戸は必ず付近に山があって、井戸の傍らに樹木のないのがいいと言われています。
夜星影多く映るは、水の性激しくてよいと言われています。

●諸白
日本酒の醸造において、麹米と掛け米(蒸米)の両方に精白米を用いる製法の名。
または、その製法で造られた透明度の高い酒のことで清酒とほぼ等しい酒のこと。

●濁酒
にごり酒は、農村や山間などの家々で醸造し、飲料にする酒。
発酵させただけの白くにごった酒。
炊いた米に、米こうじや酵母などを加えて発酵させることによって造られる、清酒の原型です。
濁酒の強きを俗に鬼ごろしなどと言うのは、味はのどをも通りがたいほどで、強く酔うからでしょう。

●中汲
ものみの汁ばかり取るものをいう。明治末期東京市中、立場茶屋体の店などで売っていた。
労働者などの飲料。

●直し
焼酎の一種。酸敗に近い酒を蒸留して造るもの。これにみりんをまぜて夏の飲料とする。

●したみ
普通、酒の小売店では、樽の飲口からもれまた枡についた酒が、自然に流れ落ちたものを片口で受けている。その中に溜まった酒は質の良否に拘わらず、取りまとめて需要者に売っている。これをシタミという。

●麻地酒
朝生酒と書き、土かぶりとも言っている。豊後の国から出る酒。
その造り方は、蒸し米、米麹、寒水を用いて醸し、土中に埋め、草かやの類でおおって置く。(土かぶりともよばれるのはこのため)
冬春を過ぎて夏の土用のころ、土から出して飲む。
夏向きにいい酒。

●焼酎
昔、かさざけと言ったもの。猛烈で多くの人は飲めなかった。また、元禄のころは、これをあらきとも言った。強い酒なので荒酒といった説が妥当でしょう。
明治以降は外国の方法に倣って、馬鈴薯や甘藷などのでんぷん性のものから造るようになり今に至っている。

●白酒
ひなまつりに用いる、甘くて白いお酒。昔は、山川、初霜、初雪などの銘のものが名高かった。

●煉酒
筑前博多の名物。白酒の一種で粘りが強い。
もち米を用い、もろみを臼で引きつぶして造る。

●味醂酒
女性が好む甘美な酒。味醂酒は下総流山の産が良い。造りたては色が白いが、古くみせるために褐色にするのだそうです。

●赤酒
熊本県で造られる灰持酒である。濃厚な褐色ないし赤褐色であることから赤酒と呼ばれる。
原材料にもち米を加え、水の量を5割近くまで減らして仕込み、終盤に大麦麦芽も加えて更に発酵させる。もろみを絞る直前に「白玉灰」と称する木灰に石灰を混ぜたものを加え、清澄させ、火入を行わずに貯蔵する。